2020-01-01から1年間の記事一覧

野口整体を愉しむ(再録114)身体教育研究所について

身体教育研究所について 身体教育研究所のことを初めて知ったのは、月刊全生の記事を読んだ時で、すでに三十年近く前の事である。すでに記したように、私が初めて整体協会主催の講習会に参加したとき、その講師が野口裕之氏であったし、その後の講習会や研究…

野口整体を愉しむ(再録113)精神療法家としての野口晴哉

精神療法家としての野口晴哉 さきに見た「整体操法の成立過程」に、整体操法制定委員会委員長としての野口氏の肩書として「精神療法」の記述があった。私はこの記述を初めて目にしたとき、従来からの手技療術を総括し、新たな規範を作成するという趣旨のこの…

野口整体を愉しむ(再録112)気の方向を変える

気の方向を変える 野口晴哉氏が1968年4月におこなった「整体操法高等講座」の口述記録からの引用です。死ぬか生きるかという場合に私のやることは、気の向きを変えるということなんです。あとはその人に体力があれば生きるし、なければ生きない・・・。普段…

野口整体を愉しむ(再録111)治療からからだ育てへ

治療からからだ育てへ 野口晴哉氏が長い治療家としての立ち位置を大転換して、からだ育てへと変貌していく時期に書かれたのが、以下に紹介する「40年の治療を捨てて」(「月刊全生」1964年3月号瀬田道場開館記念号)である。全国の多くの指導者の命を削るほ…

野口整体を愉しむ(再録110)完成された技術としての整体操法

完成された技術としての整体操法 以下、野口晴哉氏「整体法の基礎」(28pから29p)からの引用です。 体の問題は理論ではないのです。事実が真理なのです。どんな理論でも、事実によって裏書きされなければ、信じるに足りない。胸椎の八番に愉気をすれば胃の…

野口整体を愉しむ(再録109)整体操法の制定過程

整体操法の制定過程 昭和18年(1943)12月 整体操法制定委員会設立昭和19年(1944)7月 毎夜の論議を経て整体操法の基本形を制定。同月の東京治療師会役員会にて発表。全員一致の支持を得て、東京治療師会、手技療術の標準形を決定。その後、様々な角度から…

野口整体を愉しむ(再録108)「整体操法高等講座」を読む(24) 婦人の操法(4)

「整体操法高等講座」を読む(24) 婦人の操法(4) 野口晴哉氏の思想や技法を、手元の資料を手掛かりにブログとして記述していくことが、思いのほか難しいことであることを日々実感する毎日です。この困難さを感じる理由は、資料を右から左に書き写すだけで…

野口整体を愉しむ(再録107)「整体操法高等講座」を読む(23)婦人操法(3)

「整体操法高等講座」を読む(23)婦人操法(3) 私たちの生活の中で生起する様々な身体の不調や、他者との人間関係で生起する葛藤などを、どのように理解すればよいのか。或る事象や現象は、それを<どのような文脈において理解するか>によって、まるで正…

野口整体を愉しむ(再録106)「整体操法高等講座」を読む(22)婦人操法(2)

「整体操法高等講座」を読む(22)婦人操法(2) 今日は婦人操法の第二回目です。私はちょっと脇道にそれて、三木成夫(しげお)氏の『胎児の世界 ー人類の生命記憶ー』(中公新書1983.5.25)と、最相葉月(さいしょうはづき)氏と増崎英明氏の対談本『胎児…

野口整体を愉しむ(再録105)「整体操法高等講座」を読む(21)婦人操法(1)

「整体操法高等講座」を読む(21)婦人操法(1) 個人は、他のどの人とも異なっている。その差異を正確につかむことに、これほど厳密な方法を徹底した人間はそう多くはいないだろう。整体操法講座を読み進めていくと、そのことが朧気ながらも理解できるよう…

野口整体を愉しむ(再録104)「整体操法高等講座」を読む(20)子供の操法(8)

「整体操法高等講座」を読む(20)子供の操法(8) この数日、『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』(NHK出版新書 丸山俊一 NHK「欲望の時代の哲学」制作班 2018.12.10)と養老孟司氏と名越康文氏の対談本『「他人」の壁』(SB新書)を読んでいた…

野口整体を愉しむ(再録103)「整体操法高等講座」を読む(19)子供の操法(7)

「整体操法高等講座」を読む(19)子供の操法(7) 私の引用癖は相変わらずで、今日は内田樹氏の昨日(2019.4.15)のブログをそのまま引用させていただきます。私のブログは、自分自身の備忘録の一面もありますので、読者の皆さまにはお許しをいただくことと…

野口整体を愉しむ(再録102)「整体操法高等講座」を読む(18) 子供の操法(6) 潜在意識指導

「整体操法高等講座」を読む(18) 子供の操法(6) 潜在意識指導 野口氏の方法の際立った特徴の一つは、目の前の実際の人間の運動系を丁寧に観察するところにある。その観察は、まず相手の体に触れ、その体から得られる情報(筋の硬直状態、硬結の位置、体…

野口整体を愉しむ(再録101)「整体操法高等講座」を読む(17)子供の操法(5)

「整体操法高等講座」を読む(17)子供の操法(5) 私たちは日々の生活の中で、<病気>という現象にどのような意味を与えているのだろうか。<病気>が、日常のありふれた社会生活を停滞させ、阻害するという面があることから、それから一刻も早く逃れたい…

野口整体を愉しむ(再録100)「整体操法高等講座」を読む(16)子供の操法(4)

「整体操法高等講座」を読む(16)子供の操法(4) 「整体操法高等講座」(16)子供の操法 (1967.10.5) 前回<頭の形>について説明しましたが、<ぜっぺき>とか<半絶>とか、いつの間にか操法を受けに来る人達に、うちの子は<半絶>でしょうかとか、気…

野口整体を愉しむ(再録99)「整体操法高等講座」を読む(15)子供の操法(3)

「整体操法高等講座」を読む(15)子供の操法(3) 今私が引用させていただいている資料は、原本ではなくてそのコピーです。この講座に参加していた方の持っていた口述記録の原本のコピーです。そして、このコピーの最終ページにはその方自身による、講座内…

野口整体を愉しむ(再録98)「整体操法高等講座」を読む(14)子供の操法(2)

「整体操法高等講座」を読む(14)子供の操法(2) 野口氏はこの高等講座の第13回で、<整体操法の原理>について次のように語っています。なぜ野口氏が、生理解剖学の知識や、東洋医学の<経絡>の知識を徹底的に学んだうえで、それらに自らの思想・技術の…

野口整体を愉しむ(再録97)「整体操法高等講座」を読む(13)子供の操法(1)

「整体操法高等講座」を読む(13)子供の操法(1) 「整体操法高等講座」(13)1967.9.5 「子供の操法」(要約)これまで、操法をやる迄の問題をずっと話してまいりましたが、これから実際に操法をどうやるのか、についてお話ししようと思います。最初に、生ま…

野口整体を愉しむ(再録96)「整体操法高等講座」を読む(12)質問に答えて

「整体操法高等講座」を読む(12)質問に答えて いつも思うことなのですが、野口晴哉氏による整体操法の口述記録は、野口氏のリアルさを体験できる貴重な資料です。そこには、氏の語録や全生訓などとは趣の異なる、生身の息づかいが感じられる。その語り、そ…

野口整体を愉しむ(再録95)「整体操法高等講座」を読む(11) 腸骨操法

「整体操法高等講座」を読む(11) 腸骨操法 野口氏は前回の高等講座の後半部分で、なぜ<腸骨>の変動に興味を持って観察してきたのかという理由を、次のような興味深い言い方で語っています。以下に引用しますが、こういう氏の語り口に、野口整体法の本質…

野口整体を愉しむ(再録94)「整体操法高等講座」を読む(10)出産問題

「整体操法高等講座」を読む(10)出産問題 さて、今回も出産の問題です。(続く次回は「腸骨操法」がテーマです。)今回も整体操法技術の未熟な私にとっては、文面の要約さえもがとても難しくて、結局のところ多くを省略せざるをえませんでした。そこで後半…

野口整体を愉しむ(再録93)「整体操法高等講座」を読む(9)出産に関連してー整体指導

「整体操法高等講座」を読む(9)出産に関連してー整体指導 野口氏は整体操法はほぼ完成されたものと言っていい、と語っています。それは、人間の<身体><心身><心>の全ての領域に対する整体操法による働きかけが、一定の原理としてほぼ十全に提起でき…

野口整体を愉しむ(再録92)「整体操法高等講座」を読む(8)妊娠ー整体指導

「整体操法高等講座」を読む(8)妊娠ー整体指導 今回の講座内容(「整体操法高等講座」(8)1967.6.15)を一読して、はたと困ってしまった。タイトルにもあるように、ここに記録されているのは<妊娠>と<出産>に関するものだが、私には、そこに記された…

野口整体を愉しむ(再録91)「整体操法高等講座」を読む(7)圧痛の呼び起こし

「整体操法高等講座」を読む(7)圧痛の呼び起こし 前回のワープ方式、ノート形式だと、要点の記録だけになってしまい、野口氏の講義に流れる<時間>の経過やその<空間>のざわめき、野口氏の豊富な事例のリアルさや、話された言葉のニュアンスなどが全部…

野口整体を愉しむ(再録90)「整体操法高等講座」を読む(6)相手の力の使い方(4)

「整体操法高等講座」を読む(6)相手の力の使い方(4) 今日の講座記録は、これまでとは違った方法で記述してみます。私が講座の現場にワープしたと仮定し、野口氏の講義をノート片手にメモした場合どうなるか、そんな感じでフィクションを書いてみようと思…

野口整体を愉しむ(再録89)「整体操法高等講座」を読む(5)相手の力の使い方(3)

「整体操法高等講座」を読む(5)相手の力の使い方(3) 前回の講義録を読んでいる途中から、急に永沢哲氏の大著『野生の哲学ー野口晴哉の生命宇宙ー』(ちくま文庫 2008)が読みたくなり、書棚から取り出して改めて読んでみました。その書き出しは<天使>…

野口整体を愉しむ(再録88)「整体操法高等講座」を読む(4)相手の力の使い方(2)

「整体操法高等講座」を読む(4)相手の力の使い方(2) どれほど最善を尽くし、完全を期したつもりでも、それが人間の意識によって行われている限り、必ず一定の限界を持つものである。整体操法という人為による他者の身体や生命に働きかける技術というも…

野口整体を愉しむ(再録87)「整体操法高等講座」を読む(3)相手の力の使い方(1)

「整体操法高等講座」を読む(3)相手の力の使い方(1) 口述記録の冊子の作成というのは、担当された方が、野口氏の講座を、一回一回テープに録音し、それを再生して、テープに耳をそばだてながら、一言一言聞き洩らさないように丹念に文字に落としていく作…

野口整体を愉しむ(再録86)「整体操法高等講座」を読む(2)「間」について

「整体操法高等講座」を読む(2)「間」について 今日の要約は「整体操法高等講座」(昭和42年4月15日)の第二回目です。<読む>ということは、とても難しいことです。野口氏の表現した言葉に込められた意味を抽象化された概念として理解することの難しさで…

野口整体を愉しむ(再録85)「整体操法高等講座」を読む(1)体を動かすもの

「整体操法高等講座」を読む(1)体を動かすもの 「整体操法高等講座を読む」と題して、野口晴哉氏の口述記録を始めたいと思います。このブログで「整体操法の基礎を学ぶ」と題して70数回の講座の記録を紹介してきましたが、それらはI先生宅での研究会の様子…