「整体操法高等講座」を読む<26> 婦人操法(6)

このひと月余りの間に、いろんな経験があった。出産をひかえた娘がわが家へ里帰り。一週間おきに近くのレディーズ・クリニックへ定期健診。七か月に逆子と診断。しばらくして正規の状態に。予定日が近づくにつれ医師からは、場合によっては帝王切開の可能性ありと言われたり。予定日を過ぎて十日目には、未だ気配がないので陣痛促進剤を投与、いよいよ切開かと言われたとき、俄かに陣痛、そして無事出産。およそ3.5キロの男児の誕生となった。初孫である。

誕生から一か月、娘をサポートしながらの、妻と私の久しぶりの子育ての日々である。しかし、整体的出産とか、誕生前後の整体的知識とかに殆ど縁の無い娘にとって、我々の整体的な言葉は、ある面で受け入れ可能、ある面で受け入れ不能の状態。ただ愉気についてはずっと信頼感を持っていてくれるのが有難い。

当然のこととして、娘夫婦には娘夫婦の考え方があり、私たち夫婦の考えは参考意見以上のものではない。私たち夫婦のできることといえば、娘とその息子の日々のサポ―ト。それでもなかなか大変ではある。しかし孫に触れることの喜びは、何ものにも替えがたい。

折しも、この高等講座の内容も、女性、骨盤、出産、育児、潜在意識教育など、いろいろ感慨深く読み進めることができて、いいタイミングではあります。

 

 

整体操法高等講座 26」 婦人操法 (1968.2.15)

男と女との体の構造の一番大きな相違は、女は子供を受胎し、お腹の中で育て、分娩する。そして食料を供給するということで、男にはない性質のものです。相違はそのことだけにつきる。男と女の体の相違は、そのことから別れていると言っていい。

 

前回もお話ししたように、女には排卵日があるが、男にはない。排卵日は、月経の時よりも、精神的変動や肉体的変動が強い。

女の体の波の移り変わりは、殆ど排卵日によって決定すると言っていい。

排卵があって十四日経つと月経がある。月経は狂うことがあるが、排卵日は必ず波を持っている。

女の排卵日は、男の普段と同じなのです。男は毎日、排卵日と同じことを、女の何百、何千倍とやっている。・・・男にとっては毎日が排卵日である。

 だからそういう点で、普段の状態においては、女の体の方が働きが非常に少なくて余裕がすくないのですが、ただふ卵器代わりをつとめるときだけ男よりも優っている。

男と違った消耗があると言っていいわけであります。ふ卵器兼用であるという事だけが特色であって、排卵日には普段と違った構造になるのでありますが、それが女の働きを一番発揮するときだと考えていいのであります。

我々はこの時期が股関節や骨盤を動かす好機会だと考えるのであります。

股関節や骨盤を動かすのに、普段の十倍以上、同じ力を加えて動くのであります。

ですから太るのも痩せるのも排卵日を利用すると非常に都合がいい。排卵日を体で感じる筈なのに、感じない人がよくある。排卵日に一番多く体に感じるのは喉であります。

月経時には扁桃腺や何かそういう部分が敏感になり、侵されやすくなり、侵されなくとも、そういうところに異常があるような感じが起こってまいります。

ところが排卵日のときは、甲状腺の変化が起こってくる。交感神経の全般が高まってくるという事がある。

そういう面では、感情が過敏になる。

我々は、交感神経の元であるお腹の太陽神経叢を以って感情の元とみておりますが、エネルギーの昇華が太陽神経叢でおこなわれると途端に感情過敏になる。

排卵日にはそれが自動的に普段よりも特に強く行われる。

そうして骨盤や股関節に刺激を与えた場合に、その反応が非常に大きく起こってくる。そこで骨盤操法排卵日を利用してやることが一番いい、ということであります。

股関節の矯正も、同じでありまして、排卵日や、今日のように雪の降った日などに行うと非常に都合がいい。

妊娠するという事も、この排卵日の時期において一番受胎しやすい。「この日のみだ」と言っている学者もおります。

妊娠は受胎することに始まるのですが、妊娠の最初の一か月、ゼロから九十日までの間が一番人間の基本を作るものらしく、その時の親の体の状態というものは、非常に微妙に体に影響するものであります。心臓が出来上がる時期だと言われており、手足が出来る時期だと言われていますが、兎も角この時期に非常に大きな影響を受ける。

この時期に風疹になったり、睡眠剤を使ったりすると問題が発生しやすいという説が盛んに言われています。神経系統にもその影響が及ぶこともあるようです。

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 お乳が出ない時は骨盤を矯正することが第一です。・・乳腺の分泌は胸椎の三番、四番

の一側が処理の対象になる。三番、四番が硬くなるのは、腕を使ったとき、目が疲れた時、呼吸器が悪い時の三つであります。

目をタオルでよく温めますと、しばらくしてお乳が出やすくなります。肩のこの硬結を持ち上げて下す。そうするとお乳が出やすくなります。

こう持ち上げてストンと落とすのが効果があるので、この硬結をぎゅっと押しながら肩を持ち上げて、ストンと落とす。

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婦人の操法はまたいろいろ説明したいと思いますが、大体こんなところでよさそうで、あとは子供と老人の問題。壮年の問題もありますけれども、老人の問題、それから更年期の問題は男も女も一緒にやって大丈夫でありmすから、更年期以降の問題をこの次から説明いたします。操法はその都度練習いたしますが、観方を確立するということが大事で、それの処理に対する考え方をきちんとするということが大事で、操法の技術としてはそう難しいものではございません。

できるだけ簡単にお話ししてまいります。

来月末に倉敷講習がありますので、最初の四日、五日は致しますが、そこでお休みして、四月の十四、十五日続けて、四月一杯やろうと思います。

それで一応、高等講習を終わることにしたいと思いまして、三月のお休みの間に皆さんの技術程度のテストをしたいと思います。

 

ではこれで終わります。

(終)